二川ダム

有田川町へ

先日、水力発電が日本を救うの著者である竹村公太郎さんを招いて会派で勉強会を行いました。その流れで独自の取り組みをされている有田川町へ行政視察。

有田川町では平成21年に有田川エコプロジェクトとして小水力発電計画を立てました。しかし、和歌山県との交渉がなかなか進まずその解決に時間がかかりました。原因は昭和56年に建設省河川局開発局長と通産省資源エネルギー庁公益事業部水力課長とが交わしたダムアロケーションに関する覚書というものがあり、ここでいうアロケーションとは持ち分負担という意味ですが、この覚書を適用すると既存のダムを利用した小水力発電への参入コストがべらぼうな金額となってしまい全く採算が合わない。計算すると3億7500万が必要でした。ただ、覚書締結時の根拠法となる電源開発促進法は平成15年に廃止されており、和歌山県知事の判断次第との状況でもあったそうです。そして東日本大震災があり原子力発電所が止まる中、知事部局の判断で維持放流設備に対する負担割合もダム設備の持ち分相当でいいと決定がなされました。少しややこしい話になりましたが、維持放流設備の負担額が当初3億7500万であったのが、216万となりました。これで採算がとれる計画となり、本年2月から稼働しているとの事でした。

発電機の設置に約2億8千万円、年間の売電収入が約4300万円、7年で発電機の設置費用がペイされそれ以降は有田川町の収入になります。この収入は基金に積み新たな低炭素社会の構築へ再投資するとの事でした。そもそも有田川町が小水力発電計画を進めるきっかけは、ゴミの処理費用として3000万支払っていたものが、分別を徹底する事で600万の買い取り収入となり、その差額を小水力発電へ再投資できたとの事です。収益を再投資する事で、好循環を生み出し地域の特性を高めていく。

水資源が豊富で既存のダムがあるという状況が必要ですが、このような取り組みを兵庫県下の市町にて行なえば、地域創生の要でありながら中々具体案が見いだせない地域で稼ぐ手段の1つになり得るのではないでしょうか。