行財政運営調査特別委員会での会派意見
2022/1/24(月)
維新の会議員団を代表し行財政運営方針の見直し(一次案)の修正案について意見申し上げます。
全体を通しての感想は賛成、期待しています。
本県では行財政の運営に関する条例において、3年を目途に行財政運営方針の見直しを行うこととしており、まさに3年目にあたる今年度が、財政フレームをはじめ、行財政運営方針に掲げる各分野の取組について十分検証し必要な見直しを行う年になります。
そこへ刷新を掲げた新しい知事を迎え、どのような見直しとなるのか大きな期待持って見守ってきました。正直なところ井戸県政20年の大きな流れに飲み込まれてしまうのではないかという懸念もありました。一次案が出てから修正案までの過程において、流れを変えたくない方々も多くいたでしょうし、大幅な変更ではなく微調整で済ませたい方々からの圧力も相当あったと思われます。
その中で副知事を先頭に新県政推進室長以下多くの方々のご努力で修正案へ漕ぎ着け、追い込まれながらも辛うじて踏みとどまった事は会派として評価し今後への期待を込め、以下項目に沿って意見を申し上げます。
(策定の主旨及び基本方針について)
県政改革方針の策定の主旨では
・人口減少をはじめ多くの課題が山積する中、失敗を恐れず、新たな挑戦を沸き起こす。
・「躍動する兵庫」を目指すことが県政推進の基本である。
・旧来の手法や慣例、慣習にとらわれずイノベーション型の行財政運営を目指し新たな改革に挑戦する。
そして、
・「オープンな県政の推進」
・「誰も取り残さない県政の推進」
・「県民ボトムアップ型県政の推進」
の3つを基本姿勢に、
・新たな時代を切り拓く「躍動する兵庫」の実現を目指す。と書かれています。
基本方針では3つの項目が列挙されています。
・躍動する兵庫の実現
・持続可能な行財政基盤の確立
・イノベーション型行財政運営の実現
策定の主旨も基本方針も大いに理解できる所です。ただ、「オープンな県政の推進」「誰も取り残さない県政の推進」「県民ボトムアップ型県政の推進」や、「躍動する兵庫の実現」、「行財政基盤の確立」、「ノベーション型行財政運営の実現」とはどのような兵庫を目指しているのかもう少し見えやすい形で訴えるべきものだと考えます。
ビジョンにも通じる事なのですが、私たちの目的をわかりやすい言葉で伝える必要があります。我々の会派としては人口減少を食い止める事を最大の目標にすべきであると考えます。まずは社会減への対策が重要です。
進学や就職の機会に兵庫県を選んでいただく。住んでいて良かった、これからも住み続けたいと思っていただく。安心して子育てができる環境となれば人口の自然増へとつながっていくかもしれません。
個人的な感想となりますが、私は井戸前知事の事は尊敬していましたし、私が評価するのもはばかれますが非常に優秀な方だと感じていました。
ただ1点違うなと感じていた点は「人口が減っても活力ある社会を作っていく」と事あるごとに話されていました。
人口減少という大きな流れに抗うことなく理解し、その先へと向かう事は決して間違いでは無いと思いますが、もう少し物分かりの悪い、なんとしてでも人口減少を食い止めるという強いメッセージこそが政治の役割であるともいえ、私たちはそこを目指すべきであると考えます。
人口減少という課題を全面に押し出し、まずは人口の社会減を食い止める。今、兵庫県にお住いの方にはそのまま住み続けて頂くための施策を用意し、今、県外に住まれているかたには進学や就職の機会に兵庫県に住むことを選んでいただけるような施策を用意する。
躍動する兵庫は県内にお住まいの方々が活力を持って日々の生活を送っていただけるため。
財政基盤を安定させる目的は人口減少対策としての事業を機動的に行うため。
策定の主旨や基本方針のその先には550万人が生き生きと住む兵庫県を見据えて頂きたい。それが県政改革の方針についての私たち会派の意見です。
(財政運営)
次に財政運営について意見を申し上げます。
試算に用いる経済成長率を、国における中長期の経済財政に関する試算におけるベースラインケースに改めた事は一定の評価をしています。経済成長率に期待を寄せるのではなく、常に最新の経済成長率を用いての試算を続けて頂けるようお願いします。
また、基金集約を解消する事で県債管理基金が正確に示され、それに伴う財政運営指標が他の都道府県の基準と、統一される事で正確な比較が可能となったことも評価しています。
(事務事業)
事務事業については全体的に納得した事や、予算編成が平行して行われており、個別の事業の評価は予算特別委員会で申し上げます。
(投資事業)
投資事業については本庁舎の建て替えについて意見を述べます。
本県では平成30年8月に学識者等で構成する「県庁舎等再整備基本計画検討委員会」を設置し、さらに、平成30年12月には議会に「県庁舎等再整備協議会」を設置し様々な議論を行い「県庁舎等再整備基本構想」を策定しました。
ただ、基本構想策定時には思いもしなかった新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、県庁の業務の進め方も変化し、合わせて働き方も大きく変わってきました。
国にデジタル庁が設置され自治体業務のデジタル化へ向け大きな動きが出てきています。届け出関係の書類も原則オンラインを目指し、県職員の在宅勤務もひろがる中で、検討委員会で議論されていた県職員の執務スペースや来客用ロビーについての考え方にも変化が出てきて当然です。
県財政への大きな負担や、コロナ禍による環境変化により県庁舎等再整備事業が一旦凍結された事は評価します。
ただ、新たな民間投資を呼び込み元町全体のグランドデザインを描き県庁舎整備のあり方について検討していくとの事については、行政の理屈で商業やホテル需要を見誤り過信し過大な期待を描かない様、指摘しておきます。
神戸市が三宮の再開発を行い、ウオーターフロントに軸足を置いている中で、県が神戸市の協力も得られず元町の山手側に力を入れすぎる事の無いよう、新庁舎については落ち着いた議論で進めて頂く事を求めます。
1号館の耐震強度不足は早急に手当する必要があるので、新庁舎の再整備に時間がかかる様であれば、既存のビルに間借りする事もご検討ください。
(公的施設等)
公共施設等の適正管理の推進について意見を述べます。県や県内市町が保有する公共施設等の適正管理については、各分野の計画を確実の実施していく必要があるのは言うまでもありません。
その中で県内の水道事業が将来的にどのような姿が望ましいのか議論を進めて頂きたいと考えます。
県が進めている水道事業の広域連携がゴールでいいのかという話です。広域連携の後は県内一水道を目指すべきなのか、民間コンセッション方式という選択肢はないのか。水道料金が大きな負担で移住の選択肢にならない地域を作らない事が私たちの使命であると思います。水道施設に関する公共施設等の運営権を企業庁の水道事業に設定する事も選択肢と考えますので将来的なご検討をお願いしておきます。
(試験研究機関)
試験研究機関について意見を述べます。質疑の中でも取り上げましたが、県立の試験研究機関についてはもう一段踏み込んで隣接する府県との統合も含めた再編を求めます。社会保障費が増え続け税収の伸びが期待できない中、試験研究機関への予算を確保していくのも年々厳しくなっていくでしょう。関西広域連合の枠組みの中で試験研究機関を統合できないものか検討する事を求めます。
(県営住宅)
県営住宅事業について意見を述べます。公営住宅については県と市町がそれぞれ役割を担っており、広域需要に対応した県営住宅の過去の経緯は尊重しますが、県や市町がそれぞれ低所得者向け住宅を保有し管理していく仕組みはそろそろ整理した方がいいと考えます。
そして県の方針としての新たな施策展開に、福祉施策との連携、建替事業における市町との連携、ポストコロナ社会への対応など、多様な需要に対応した施策を展開すると書かれています。
高齢独居者の割合が増え続ける県営住宅と市町との福祉施策との連携は今後ますます重要性が高まります。
そもそも、県と市町の役割分担において高齢者福祉は市町が担うものと認識していますので、福祉的側面が重要視されるようであれば将来的に県営住宅は全て市町へ移管する方が効率的効果的な公営住宅運営となります。
市町が県立住宅の受け入れを望んでいない、という意見があるのは充分承知していますが、公営住宅にお住まいの方の目線に立てば、身近な行政である市町が管理運営する事が望ましいと考えますので、引き続き、意向調査を行って頂き、移管を希望する市町があれば、移管協議を行うようお願いします。
(企業庁・青野運動公苑)
企業庁が運営を担っている青野運動公苑について意見を申し上げます。今回の県政改革実施計画では「新たな利用者確保へ向けた取り組みの推進などにより、健全経営を確保する」と1行のみ書かれています。やはりここは知事が変わったタイミングもありもう少し踏み込んで頂きたい所です。
県がゴルフ場を保有し管理運営する理由を県民に対し明確に説明できるでしょうか。北播磨のスポーツ振興だけでは難しいかもしれません。経営が難しく構造的に赤字が続き、経営において県の後ろ盾が必要であるとか、北播磨地域に大きな役割を担っているであるとか、雇用の要である等他ならぬ理由があれば県が関与する事も理解できますが、関係者の努力により単年度では黒字も難しくないと聞いております。民間企業との契約もあるのですぐに売却とならないかもしれませんが、タイミングを見計らい、高値で民間事業者へ売却を探るという方針も考えられますので検討をお願いします。
(行政運営・組織)
本庁の組織について意見を申し上げます。
部の体制見直しで本庁5部体制を12部体制へと見直すとの事です。
合わせて局体制・課室体制の見直しも書かれていますが、どのような組織にしてどのように動かしていくかは全て知事のマネジメントに関わる事で行政運営としては非常に重要ですが、外部から物申す話でも無いと考えます。
組織運営の要となる部局体制は、知事が今まで経験してきた仕事の進め方で、知事のやりやすい方法にするのが一番だと思います。
(行政運営・地方機関)
伊丹庁舎の整備及び阪神県民局としての統合は一旦凍結し、「阪神県民局」としての統合は、統合方針やコロナ禍に起因する社会環境の変化等も踏まえながら、県民局・県民センター体制の今後の見直しの中で検討する。
との事ですが、今回のこの議論の中で浮き彫りとなったのが芦屋健康福祉事務所の扱いです。
コロナ禍で保健所の役割が見直されました。県民の安心安全を確保するのであれば保健所の分室化への動きは相当厳しくなります。
そして、あったものが無くなるのは困るという住民感情は大いに理解した上で保健所をどこに設置すべきなのかが改めて課題になりました。
最新の人口推計では芦屋市93,866人、三田市107,959人となっており三田市の方が14,093人多くなっています。ただ、三田市に県の保健所は無く三田市を所管している保健所は宝塚保健所になります。
県全体を俯瞰し保健所を適正に配置するとなれば芦屋市に保健所を置いているのであれば三田市にも保健所が必要です。
そして、そもそもこのような考え方は利用者目線では無く行政の枠組みで行政の都合によって成り立っている前時代的な発想と認識すべきです。
新しい行政運営を掲げるのであれば保健所をどこに設置するかは県民局の統合再編を機に利用者目線にみなすべきではないでしょうか。
保健所の業務は多岐に渡ります。感染症や難病・精神保健に関する相談機能は県内各地にある利用しやすい保健所で対応できるようにすべきです。
仮の話となりますが、将来的に芦屋保健所を無くすという話になった時に、芦屋にお住まいの方は宝塚では無く西宮市保健所や東灘区の保健センターを利用できようにし、三田市の方は神戸市北区の保健センターも利用できるようにする。西宮市北部の方は神戸市北区が圧倒的に近い方もいますし、JR・阪急宝塚駅から歩いてすぐの西宮市民は宝塚の保健所が近くになります。
今後の行政運営において保健所のあり方として、急を要する感染症や難病や精神保健の手助けが必要な方々にとって利用者目線での保健所となる事を要望しておきます。
(業務改革)
業務改善について意見を述べます。
どんなに良い政策を掲げようとも、実際に運用する職員のモチベーションが低ければ実現しません。
職員のモチベーションを維持すること、やりがいを見いだせる職場にすることは大切です。その点今回の改革方針にある業務改革は業務改善に取り組む組織風土の醸成に言及されており、評価しています。
ただ、業務改善のなかで一番目に挙げられている「抜本的な業務プロセスの改善」が行政手続きのオンライン化、公印のデジタル化、キャッシュレス決済の推進、その他の取組という小粒な改革にとどまり、「抜本的な業務プロセスの改善」にはいささか物足りないものとなってしまっていることは残念です。
抜本的というからには、例えば民間の業務改善コンサルティング会社と県職員合同の業務プロセス見直しチームのようなものを立ち上げ、庁内に第三者視点を取り入れることで現在の業務をイチから分析し、業務改善の実施に取り組むなど、一歩踏み込んだ見直しの方法が挙げられるべきであったのではないかと思います。
また、今申し上げた内容としては、小粒な「抜本的な業務プロセス」が主な取り組み内容として取り上げられており、業務改善のなかでより重要だと思われる外部人材の更なる活用や、業務改革に取り組む組織風土の醸成に関する工程表が示されておらず、どのようなスケジュールで進めていくのか明確でない部分は指摘しておきます。
(地方分権)
地方分権への取り組みについて意見を述べます。
新型コロナウイルスの蔓延によっても判明したことですが、防災機能の権限を地方自治体に一部移譲することによって、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を知事の要請に応じて迅速かつ機動的に発動できる仕組みにすることや、地域の実情に合わせたまん延防止等重点措置の運用を可能とするなど、地方分権の理念に基づいた見直しを行うことが必要だと全国知事会でも提言されていました。まず安心と安全の県政を実現するためにも、防災への権限移譲を引き続き国に強く求めていくべきです。
また、知事の公約である「躍動する兵庫」の実現のためにも、地方分権からの経済成長を促していく必要性があります。県政改革方針には関西圏国家戦略特区、関西イノベーション国際戦略総合特区、あわじ環境未来島特区を活用し、産業の国際競争力の強化や地域活性化を推進すると記載しておりますが、県民が希望を持てるような具体的計画やイメージ図による発信を強めていく必要性があると考えます。「県民ボトムアップ型県政の推進」という観点からも、規制改革推進会議において多くの県民やスタートアップ企業から意見を募り、県民がビジョンを描けるような規制緩和による経済成長の実現を促していかなければなりません。
(公営企業・公社等)
公社等についての意見を述べます。
県行政と密接な関連のある公社等における令和元年度の決算で、32団体中14団体の当期収支がマイナスとなっています。理由として、新型コロナウイルスの影響が多く見られましたが、平成30年度における決算においても、10団体は当期収支マイナスとなっており、県行政と密接な関連のある公社等にメスを入れていく必要があり、県政改革方針の中に明記されていることは評価しています。
公社等の設立から年月も経ち、事務事業や運営手法など、従来のやり方の抜本的改革や、民間人材の活用、透明性の確保などスピード感をもって進めていただきたい。また、公社等の評価における第三者委員会についても、県公社に代わり、民間による経済成長が促せると的確に判断を行えるような民間人材等を登用し、知事の描く「躍動する兵庫」の実現に向けて、ご尽力をお願いいたします。
以上、会派の意見を述べてきましたが、私たちは6名の少数会派です。月末には増山議員の辞職により5名となり交渉会派ですらなくなります。5名の弱小会派で知事の改革を支えるという事が非常に難しいのは充分承知しておりますが、直近の国政選挙の結果を見ても私たち日本維新の会への期待は大きいものがあります。
その期待におごる事無く、来年4月の改選へ向け1議席でも多く議席を獲得し、知事と一緒になり県政改革を進めていく
そのような覚悟を申し添えまして維新の会議員団としての意見表明とします。